管理費は下げられる
マンション管理費はマンションを購入する際にすでに設定されているため、下げられるという感覚をなかなか持ちにくいと思います。実は、マンション管理費は下げられるのです。実際に30%ほど管理費を下げたマンション管理組合の例から、マンボー先生に話を訊きました。
Q.管理は下げられるのでしょうか。
まず、管理費は下げられるといっても、もとから既に安い場合もあります。誰でも下がる、というものでもありません。大事なのは、現在の管理の質や仕様を維持することを前提に、そのマンションの適正な管理費はいくらか、ということを知ることにあります。マンションの規模や管理のサービスの内容によって、いくらが適正なのかを見極め、それを住民の皆さんで共有することから始めて下さい。「とにかく、安くして下さい」という交渉の仕方はよくないです。管理会社側にしてみれば、「いくらならいいの」ということになってしまいます。
Q.マンション管理費の適正価格を知るにはどうしたらよいのでしょうか。
まず、広さや地域性を勘案して、管理費の相場を資料などを当たって調べておきます。「週刊ダイヤモンド」などの雑誌の特集を参考にするのもよいでしょう。資料で相場観を養い、やはり管理費が高いと認識したら、マンション管理に詳しいコンサルタントの方に訊いてみるのもひとつの方法です。インターネットなどで探してもいいでしょう。コンサルタントの方はたいてい、管理費の査定をしてくれます。1社だけではなく、できれば何社か聞いてみるといいと思います。あるマンションの場合は、当時年間約6000万円の管理費を管理会社に払っていました。最初の資料で調べた段階で、理事の方たちは、4,500万円くらいが妥当かな、という相場感を持っていましたが、2社のコンサルタントに訊いたところ、A社が4,200万、B社が4,500万という回答でした。30パーセント前後の減額ということになります。
Q. 管理会社と交渉をするのですか?
そうですね。交渉する際は、マンション管理組合は管理会社の土俵に入らないほうが良いと思います。交渉となると、とかく項目別に考えて、例えば「事務管理費」をいくらまで下げよう、など細かく内訳から入ってしまうケースが見受けられます。管理組合がそこまで踏み込む必要はありません。車を買う時に、値段を下げてもらおうとして、この部品は幾ら幾らで・・なんて交渉は普通しないでしょう。それと同じです。あくまでも、自分たちが把握した適正価格をもとに、「○○円が妥当だと、管理組合側では考えています」と伝えることが大事です。「それができなければ、管理会社を変える可能性もありますよ」と言いましょう。誤解をしないで頂きたいのは、管理会社は敵ではなくて、あくまでより良い管理を目指すパートナーであるということ。管理費を下げる努力をすることは顧客の利益にもつながる、という顧客志向があれば、交渉に応じるはずです。管理会社と管理の仕様は変えることなく管理費を下げることが望ましいと考えます。
Q. 交渉の結果、管理会社は納得して価格を下げてくれるのでしょうか。
最初にも申し上げましたが、管理費を下げられないケースもあります。すでに管理費が適正価格の場合、また、マンションの規模が小さく、管理費がもともと少ないケースなど。それから、いきなり、「管理費を下げろ」とハードパンチを出すのでは、管理会社もびっくりしてしまいますので、事前に小さなジャブを出すことから始めましょう。
Q. 小さなジャブとは、どのようなことでしょうか。
管理会社に少しずつ、「この管理組合は手ごわいな」と思わせるのです。専門知識をあまり持たない理事さんたちが集まっているのであれば、「長期修繕委員会」のような組織を立ち上げ、過去に行った工事など、必要があったのか疑問視されるものについて管理会社の責任者を呼んで説明を求めるのも効果的です。また、あるマンションでは、過去1年程度の全ての支出の見直しを行い、何故そのような金額になったのかを管理会社に問い質しました。「このマンションの管理組合はしっかりしているな」と管理会社に認識してもらうこと、経験豊富な優秀な人を担当につけてもらうことが交渉を効果的に進める上で重要だと思います。
Q. なるほど。管理組合でそのようなことができない場合は、どうしたらいいでしょうか。
コンサルタントの方に頼むのもひとつの方法だと思います。ただ、コンサルタントを頼む場合でも、できれば自分たちの力で交渉し、できるところまで価格を下げておくことが大事です。コンサルタントは、減額分の1年分の50%から100%を成功報酬として受け取りますから。例えば、1,000万円の管理費が、仮にコンサルタントに頼んで700万円まで下がったとしたら、150万~300万円が彼らの収入になります。管理組合で管理会社と交渉して850万円まで下げた段階で、コンサルタントに頼んだのであれば、払うのは半分 だけで済みますから。また、コンサルタントの方に間に入ってもらうことで、無謀な数字を提示しているのではない、という認識を管理会社に与えることにもつながります。
Q. しつこいようですが、管理費は本当にさがるのでしょうか。
大手ディベロッパーが分譲し、管理会社を1回も変えていないのであれば、おそらくほぼ100パーセント管理費は下げられると思いますね。というのも、分譲するときには、短期的には利益の生まない修繕積立金はぎりぎりに低く抑え、儲かる管理費のほうを大目に設定しているものだからです。(これが、あとあと修繕積立金が足りなくなるもとですが、それについては話がそれますので別の機会にお話します)管理費や修繕積立金は、給与から天引きされる税金や保険料のように、値段が決まっていて毎月払わなければならないものではありません。人間、自分が納得すると考えずに払ってしまうものですが、それでは、いつまでも管理費の価格破壊は起こりません。